10/05
朝は早く起きた。
テーブルもなければ水場も無いキャンプ場なのでさっさと撤退の準備をする。
そのため朝ごはんを食べずに出発することなった。
たまには外食するか、などと思い、以前から気になっていたワッフルハウスに入ることにした。
ワッフルハウスはセットで頼んでコーヒーをつけると$7以上するので日本のマクドナルドなどと比べると割高に感じた。
しかし店内はカワイイ内装で、アメリカの大衆食堂と言うイメージだ。
味は普通だ。
その後JAZZの街、ニューオーリンズを目指すため昨日と同じく90号を走る。
90号は途中道がまだ建設されておらずハイウェイ10号を走ることになった。
その後結局また90号へ戻れそうなのでハイウェイを一度降りる。
どうやらニューオーリンズの都心部から離れた郊外あたりに来ると一気にゴミが増えた。
90号の路肩にはゴミがたくさん落ちており、また黒人ばかりが目立つようになった。
治安も悪そうだ。
以前にも治安の悪そうな街は何度も通っている。
きっと大丈夫だ、と思いながらもそろそろガスを入れなければならないと思い、
最初に見つけたガススタンドに入る。
ガスを入れ清算を済ませると同時にタバコを買おうとパッとレジで売っているタバコを見ると、Pall Mallが一番安いようだ。
「ぽ~るも~るぷり~ず」と言うが伝わらない。。。
「ぽるも~る」
「ぽるめ~る」
「ぱむま~む」
「ぽむも~む」
いろいろ言ってみるがまったく伝わらない。
それに向こうが言っていることも良くわからない。
結局レジの店員にあのタバコだ!「ザット!ザット!」と指差し伝えると、
「フォル?」とやっとポールモールをのことだとわかってくれた。
ポールモールはフォルモールと言わないとこの地では伝わらないらしい。
その後後ろに並んでいた黒人のオッサンがレジにドン!と
お金を置きなにやら定員に怒鳴りつけている。
こちらもなにを言っているかわからないが
この金でタバコを売れ!みたいなことを言っているようだ。
しかしお金は足りないようで店員はNoNoと言っている。
おっさんはそれでもあきらめず怒鳴り散らしている。
黒人は僕を見ると足元から頭までをなぞるように見て
「アァ~メェ~ン」などと言ってきた。
僕はキリスト教信者ではないので良くわからなかったが、
旅の無事を祈ってくれているのだろうか?
彼の発音も映画で聞く「アーメン」とはだいぶ違っていて、
「アァ~メ~ン↑」と言う感じだった。
熱心な信者の場合、トラブルになったらなどと考えると、
恐くなったので「センキュー」と言い店から出ようとするが彼はなぜか首を横に振っていた。どういうことあろうか?
バイクにまたがり、出発しようとしたら停めた場所がだいぶ斜面になっていたようで
ツーリング二度目の立ちゴケとなった。。。
するとそれをみていた黒人がすぐさま駆け寄り、バイクを起こすのを手伝ってくれた。
治安は悪そうだが、やはりアメリカ人は優しい。
幸いサイドバックがクッションとなったので今回も特に目立つような傷やツーリングに支障が出るようなことは無かった。
彼にお礼を言い、バイクに乗り90号をまた走り出した。
進めば進むほどゴミは増えていく。
見るとゴミを拾う黒人の清掃員も何人も見るが、
ほとんどの人間はゴミを拾っておらず、座って話をしている姿ばかりが目立つ。
このまま話をするだけで一日が終わってもちゃんと給料をもらっているんだろうか?
などと考えながらバイクを走らせた。
しばらくたつとゴミは増えるが一般道、と言うよりは住宅街に入ってしまっていた。
車なども少ない。
どこかの分岐で90号を見落としたのだろう。Uターンし、元来た道を引き返すことにした。
その瞬間「カツカツ」と音が聞こえる。
なんだ?と思いながらも異常は無さそうなので90号を探す。
目の前の信号が赤になり停車し、青に変わるのを待つ。
青になり、走り出す。
しかしスピードが出ない。
どんなにアクセルを開けてもスピードが出ない。
とりあえず空き地のようなところにバイクを停め点検することにした。
見るとリアタイヤに大きな釘がぶっすりと刺さっている!!!
はぁ。。。。またパンクか・・・
と思い以前役にたったパンク補修剤を注入するが前回のパンクのときの残りだったので、ぜんぜん足りない。
仕方なくこちらに歩いてきた少年に近くにガススタンドはないかたずねるが、
どうも英語が話せないらしく「ボスをつれてくる」みたいなことを言い、その空き地の隣にある建物の2階へとのぼっていった。
2階からは2人の男性が来た。
どうやら2階で部屋の改修作業をしている人たちのようだ。
どちらがボスかはわからなず、もしかしたら2人ともボスかもしれない。
2人はアジア人のように見えるが、今まで出会った韓国人や中国人、また台湾人とも違った顔つきをしていた。
とりあえずパンクしたことを言い、最寄のガススタンドを教えてくれと言うと、
あるくには遠いから送って行ってやると言い、車に乗せてくれた!!!
なんとも優しい!
車に揺られること5分。
来たのはカー用品店!!!
ここなら間違いなくあるよあるよ!
とパンク補修剤を購入。
今回は次のことも考え、大きめのサイズを購入しておいた。
帰りの車の中で「are you american?」と言うと「違う 俺はベトナム人だ」と言う。
そうか、ベトナム人か。
ベトナム戦争と言う言葉は知っているが詳しいことはわからない。
どういういきさつでアメリカで働いているのかもわからないが
その後車の中での無言の空気がやけに重く感じた。
バイクまで帰ってくるともう片方の親方がペットボトルのミネラルウォーターをくれた。優しい人たちだ。
さっそくバイクにパンク補修剤を注入し、何とか走れそうなまでタイヤが膨らんだ!
僕はたくさんのお礼を彼らに言い、硬く握手を交わし、最寄のバイク屋を探すことにした。
ありがとう ベトナム人。
この優しさは忘れない。
その後90号を走り、最初に見つけた車修理工場に入り、
バイクチューブの交換が出来るか聞いてみたが
「うちは車屋だ。あっちにバイク屋があるからそっちへ行け」と軽くあしらわれた。
向かった先にはバイクのカスタム屋だった。
チューブぐらいなら置いてあるだろうと、店に入ると奥でコーヒーを飲んで休憩している数人のスタッフの1人が出てきた。
おそらくオーナーだろう。
「バイクのタイヤがパンクしているので修理できるか?」と言うがやはりうまく伝わらない。
何度も一生懸命伝えようとするとやっと意味が伝わったらしく、
奥から箱に入ったチューブを持ってきてくれた。
あるのか!
ついてる!!
すると彼は伝票を書き始めた。
「待ってくれ、買うのは構わないが今日取り替えてくれるのか?」と言うが
「今日は忙しいから駄目だ!明日来てくれ」と言う。
さっきまで休憩してたのに・・・
どうするか迷っているとチューブタイヤをレジの上にどんと置き、
「買うのか買わないのか?」と怒鳴り口調で言ってきたので
そんな態度なら買ってやるかい!と、僕も大きな声で「ノーセンキュー!!!!!!」と断ると彼は書きかけの伝票をビリビリに破き始めた。
なんだか嫌な思いをした。
仕方なくまたバイクでフラフラと90号を走る。
が、またもやスピードが出ない。
後輪からはベコベコと音がする。
見ると先ほどのパンクの穴から白い液体が飛び出て、
またもやフニャフニャのパンク状態。
パンクの穴が大きすぎてまったく補修剤が利かないと言う状態!
仕方なく一番最初に見つけたコンビニにバイクを停め、
公衆電話を探し電話帳を探すが電話帳がついていない。。。
店内に入り、電話帳を貸してくれと言うが「無い」と言う。。。
どうしよう、、、
そうこう迷っているとコンビニの2軒隣がガススタンドだった。
電話帳はあるかと店員に聞いてみるとこころよく貸してくれた。
ありがたい。
電話帳を見ながら今いる場所から近い日本のバイクメーカーを扱った販売店を
見つけることが出来た。
彼は親切にもここからの地図まで書いてくれ、
お礼を言い販売店を目指すことにした。
無理だとわかっているが、そこまで走れるだけの空気圧を入れておこうと
残りのパンク補修剤を注入し走り出した。
カワサキ、スズキ、ヤマハの看板がある販売店は想像よりも大きく、
在庫も多そうだ。
スタッフに事情を話し、修理できるか聞くと在庫もあるし今日中に大丈夫だ、と
言ってくれた。
ありがたい。
さらにメキシコまでのことを考え、クラッチワイヤーの交換とブレーキパッドの交換も頼んだ。
交換している間は外でじっと待っていた。
スタッフの1人が交換し終わったブレーキパッドを持ってきた。
見るとパッドはほとんどなく、危ない状態だったというのがうかがえる。
テイクアウトでオイルフィルターも買っておくことにした。
修理が終わりバイクを受け取って修理してくれた人や対応してくれた人にお礼を良い、
キャンプ場を見つけやすいようにハイウェイ10号を走る。
ハイウェイ10号で最初に見つけたのテントエリアのマークではなく、
RVキャンプのマーク。
おそらく以前フロリダのところと同じようにサイトエリアが砂利だろうと思い、
それでもかまわないから1泊停まろうと向かうことにした。
標識に従い、ハイウェイ10号をひとまず降りる。
降りてからが結構な距離があり、
街灯もなくだんだん心細くなってくる。。。
暗いと看板を見つけるのも苦労する・・・
あった!ここだ!と入って行き、
キャンプオフィスに入ると若い女性のスタッフがすでに今日の売り上げの集計をしているのか、お金を数えていた。
僕は「1泊、テントキャンプOKか?」とたずねると、「駄目だ」と言う。
見るとRV用のエリアばかりだが、ちゃんとあいているエリアもある。
「別にRV用の料金でもかまわないからプリーズ!」
と言って見るが「ソーリー ソーリー 無理なんだ」と言いやがる。。。
なんだかいやな思いをしつつも近くにテントを張っても良いキャンプ場あるかと言うと、
目の前の道を進むと大きな道があるからそれを曲がって5マイル進むとテントキャンプが出来るところがあるという。
渋々そのキャンプ場を出て、言われたとおり進むことにした。
大きな道路に出たが、車はぜんぜん走っていなく、
対向車もなければ後続車もいない。
しかし道はとても大きい。
すでに10キロ以上は進んでいる。
しかしキャンプマークもなければ出口も無い。。。
こりゃだまされたか・・・などと思い始め、地図にもないような知らない道路を走っていたらなどと不安を覚え、素直に来た道を引き返し、ハイウェイ10号を走ることにした。
ハイウェイ10号までは結構な距離があり、すでに9時を回り始めていた。
不安がどんどん膨らむ。
ハイウェイ10号をしばらく走るとまた同じようにキャンプマークが出ていたのでハイウェイを降りることにした。
標識どおり向かい、キャンプ場に着くことが出来た。
時間はすでに22時を過ぎている。
夜だと言うのにスタッフがいたのでテントキャンプOKか?と言うとOKだと言う。
料金を聞くと$24.40。
$25渡してノーチェンジだ。と言うと彼は逆に1ドルくれた。
優しい。
テントをさっさと設置し夕食は取らず寝るだけにした。
今日はとにかくいろいろあった。
そしていろいろな人にあった。
困っている人を助けてあげるのが当然だとは思わない。
しかし助けてもらったことを当然だとも思わない。
僕はあのベトナム人を忘れない。
走行距離:394キロ 総走行距離:14292キロ